電話を切った直後の、あの走り書き。「〇〇の件、△△さん、木曜まで、たぶん再送」——自分だけが読める殴り書きを、あとで見返して「これ何だっけ」となった経験は多いはずです。この記事は、その走り書きを AIで「要点・やること・折り返し文」に30秒で整える ための手順をまとめます。結論から言うと、コツは「通話中は事実だけ書き殴る」「整えるのはAIに任せる」の役割分担です。
<!-- FIGURE: 走り書きメモ → AIで整形 → 要点・ToDo・折り返し文の3つに分かれる流れ図 -->電話や問い合わせの一次対応は、生成AIがいちばん効く場面のひとつです。話しながら整った文章は書けませんが、あとから整える作業はまさにAIの得意分野だからです。
まず結論:通話中と通話後で作業を分ける
やることはシンプルです。
- 通話中:日時・相手・用件・数字・約束(誰が・いつまでに)だけを、体裁を気にせず箇条書きで殴り書く。
- 通話後:その殴り書きをAIに渡し、「要点」「自分の宿題」「相手への折り返し文」の3つに整えてもらう。
- 仕上げ:固有名詞・日付・金額など、間違うと困る箇所だけ自分の目で確認する。
大事なのは、通話中に文章を作ろうとしないこと。聞くことに集中し、整形は後工程に回します。これだけで「聞き漏らし」と「あとで解読できないメモ」の両方が減ります。
通話中メモのコツ:この5項目だけ押さえる
AIがうまく整えてくれるかは、渡すメモに必要な素材が入っているかで決まります。次の5つを意識して書き殴るだけで十分です。
- 相手:会社名・部署・名前(聞き取れた範囲で)
- 用件:何についての電話か(一言で)
- 事実・数字:型番、件数、金額、日付など具体的な値
- 約束:「誰が・いつまでに・何をする」
- 温度感:急いでいる/困っている/怒っている、など雰囲気の一言
逆に、きれいな文章・敬語・順番は通話中に考えなくて大丈夫です。そこはAIが引き受けます。
そのまま使えるプロンプト例
殴り書きメモを貼り付けて、次のように頼みます。ChatGPTでもClaudeでもGeminiでも同じ形で使えます。
あなたは事務の実務経験が豊富なアシスタントです。
以下は、私が電話対応中に取った走り書きメモです。
これを次の3つに整理してください。
1. 【要点】通話で確認できた事実を、箇条書きで3〜5行。
2. 【私のToDo】私がやるべきことを「いつまでに/何を」の形で。
3. 【折り返し文】相手にメールで送る想定の、丁寧なビジネス文面の下書き。
制約:
- メモに書いていない事実は補わない。不明な点は「(要確認)」と明示する。
- 日付・金額・固有名詞は、メモの表記をそのまま使う(勝手に変えない)。
--- 走り書きメモ ---
(ここに貼り付け)
ポイントは 「書いていないことは足さない」「不明点は(要確認)で残す」 を必ず指示することです。これを入れないと、AIがそれっぽい情報を埋めてしまうハルシネーションのリスクが出ます。空欄を勝手に埋めさせず、確認すべき箇所を浮かび上がらせるのがコツです。
一次体験:4分の走り書きが1分の清書に
実際に、5分ほどの問い合わせ電話を想定して試しました。通話中に取ったのは、こんな殴り書きです。
山田さん(あおぞら商事・購買)/先週の見積の件/数量50→80に変更したい/単価そのままでいける?/今週金曜までに回答ほしい/急ぎめ
これをそのまま上のプロンプトに貼ると、数秒で「要点3行・自分のToDo(金曜までに単価据え置きの可否を確認して回答)・折り返しメールの下書き」がそろいました。自分でゼロから清書すると4〜5分かかっていた作業が、貼り付けて確認するだけの1分弱に縮みました。
特に効いたのは折り返し文の下書きです。「先日はお問い合わせいただきありがとうございます」から始まる定型部分をAIが用意してくれるので、こちらは数字と条件の確認に集中できました。
<!-- FIGURE: 殴り書きメモとAI整形後(要点・ToDo・折り返し文)のbefore/after対比 -->つまずきやすい点と、その回避
社名や人名を聞き間違えたまま整形される:AIはメモの表記をそのまま使うので、聞き間違いは直りません。名前・社名は通話中に復唱して確かめ、あやしい箇所は「(要確認)」と書いておくと、整形後もそこが目立ちます。
顧客情報の扱い:氏名・電話番号・取引金額などの個人情報や機微情報を、会社が許可していないツールに入れるのは避けます。社内で承認されたAI環境を使うか、名前を「A社担当者」のように仮名化してから貼るのが安全です。
謝罪やお詫びの範囲:クレーム性の電話では、AIの下書きが謝りすぎたり、逆に事務的すぎたりします。どこまで謝るか・何を約束するかは人が判断し、AIはあくまで文面のたたき台として使ってください。
もう一歩:メモを「次に活かす」形に
折り返し準備までできたら、同じAIに「この対応から、今後のFAQに載せるべき質問はありますか?」と聞くと、繰り返し来そうな問い合わせを拾えます。日々の電話メモが、少しずつ社内のFAQや手順書の材料になっていきます。
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