SWOT分析や3C分析を任されたとき、AIにまず「観点の抜け」を洗い出させると、白紙から悩む時間がぐっと減ります。結論から言うと、AIは枠を埋める下書きと、思いつかない切り口の追加に向いています。一方で、数字や固有名の事実確認と、最終的な戦略判断は人がやるのが安全です。この線引きさえ守れば、フレームワーク分析の質は上げやすくなります。
<!-- FIGURE: 記事全体を表すアイキャッチ(SWOT/3Cの枠をAIと人で分担して埋めるイメージ) -->この記事では、SWOT分析・3C分析を「それっぽいけど浅い」で終わらせないために、AI(ChatGPT や Claude など)を壁打ち相手にする手順と、そのままコピペで使えるプロンプト例を紹介します。
AIに任せていい部分・人がやる部分
まず役割分担をはっきりさせておくと迷いません。
- AIが得意: 枠(強み・弱み・機会・脅威/顧客・競合・自社)を埋めるたたき台づくり、観点の抜け出し、別業界の視点の追加、質問の生成
- 人がやる: 市場規模・シェア・価格などの数字の裏取り、競合名や製品名の確認、要素の取捨選択、そこから何を決めるかの判断
ここで注意したいのは、AIは知らないことでももっともらしく答えてしまうこと(ハルシネーション)がある点です。特に「自社のシェアは何%」「競合の売上は」といった具体的な数字は、AIの回答をうのみにせず、必ず公式資料や一次情報で確かめてください。AIが出すのは「調べる観点」であって「確定した事実」ではない、と割り切るのが安全です。
SWOT分析をAIでたたき台にする手順
SWOT分析は、自社の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)を4象限で整理する枠組みです。ひとりで考えると、どうしても自分の見えている範囲に偏ります。そこでAIに前提を渡し、抜けを補ってもらいます。
ステップ1: 前提を具体的に渡す
いきなり「うちのSWOTを出して」と頼むと、当たりさわりのない一般論しか返ってきません。次のように、事業の輪郭を5行ほどで渡すのがコツです。
あなたは事業戦略のコンサルタントです。以下の事業のSWOT分析のたたき台を作ってください。
# 前提
- 事業内容:(例)地方都市で個人向けの学習塾を運営
- 対象顧客:(例)中学生とその保護者
- 規模・体制:(例)講師5名、教室2つ
- 最近困っていること:(例)オンライン塾に生徒が流れている
- 強みだと感じている点:(例)地元での口コミ、面倒見のよさ
# お願い
- 強み/弱み/機会/脅威を、それぞれ5〜7個ずつ箇条書きで
- 事実かどうか怪しい項目には「※要確認」と付ける
- 私が見落としがちな観点も1〜2個あえて足す
ステップ2: 抜けと思い込みを突っ込ませる
たたき台が出たら、そのまま使わずに一度批判させます。ここが差のつくところです。
今のSWOTについて、次の観点で指摘してください。
1. 強みに書いたが、実は競合も持っていて差別化になっていないもの
2. 機会と脅威を取り違えている可能性がある項目
3. まったく触れられていない重要な観点(法規制・人口動態・技術変化など)
筆者が試したときは、最初の回答では「地元の口コミ」を強みに入れていたのですが、この突っ込みで「競合塾も同じ地域で口コミを持っている=差別化になっていないのでは」と返ってきて、確かにそうだと気づかされました。ひとりだと「強みだと思い込んでいたもの」を疑うのは難しく、この一手間で30分ほど悩む時間が減った実感があります。
ステップ3: クロスSWOTで打ち手につなげる
SWOTは並べただけでは動けません。強み×機会(攻める)、弱み×脅威(守る・撤退を考える)のように掛け合わせて初めて打ち手になります。
先ほどのSWOTを使って、クロスSWOTの表を作ってください。
- 強み×機会 / 強み×脅威 / 弱み×機会 / 弱み×脅威 の4パターン
- 各マスに、具体的な打ち手の案を2つずつ
- 実行難易度(高・中・低)も添える
ただし採用の判断は私がするので、断定はしないでください。
3C分析をAIで整理する手順
3C分析は、顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つの視点で市場を捉える枠組みです。SWOTより「外の状況」を丁寧に見るのに向いています。
以下の事業について、3C分析のたたき台を作ってください。
# 前提
(SWOTのときと同じ事業情報を貼る)
# お願い
- 顧客: どんな人が、どんな場面で、何に困って選ぶかを箇条書き
- 競合: 直接競合だけでなく、代替になりうるもの(例: 塾なら「動画学習アプリ」)も挙げる
- 自社: 顧客と競合を踏まえた、自社ならではの立ち位置の候補
- 数字が必要な箇所は「ここは自分で調べる」と印を付ける
3C分析でAIが特に役立つのは、「代替になる競合」を広げてくれるところです。同業だけを見ていると気づけない脅威(例: 塾にとってのYouTube学習動画)を、視点を変えて挙げてくれます。ただし、競合の具体的なサービス名・料金・特徴は、AIの記憶が古かったり不正確だったりするので、必ず各社の公式サイトで最新情報を確認してください。
よくある失敗と、その避け方
フレームワーク分析でAIを使うときに、つまずきやすい点をまとめておきます。
- AIの回答をそのまま提出してしまう: 一般論の羅列になり、上司や取引先に「浅い」と見抜かれます。必ず自社の事情で肉付けし、ステップ2の「突っ込み」を通してください。
- 数字を確認しない: 「市場規模◯億円」などをAIが出しても、それは推測かもしれません。出典を自分で当たるまでは資料に載せないのが安全です。
- 枠を埋めることが目的化する: SWOTも3Cも、埋めた後に「で、何をするか」を決めるための道具です。クロスSWOTや3Cの重なり(勝ち筋)まで進めて、はじめて意味が出ます。
なお、機密情報や個人情報を含む内容を外部のAIサービスに入力する場合は、会社が許可したツールや設定かを事前に確認してください。心配なときは、社名や数字を仮の値に置き換えて相談する方法もあります。
分析の型そのものを学び直したいなら
AIは分析を速くしてくれますが、どの型をいつ使うかは自分の中に基準があるほど回答を評価しやすくなります。SWOT・3Cのほか、4P・PEST・ファイブフォースといった定番の考え方を一度体系的に学び直しておくと、AIの出力を「これは使える/これは的外れ」と判断しやすくなります。動画で手を動かしながら学びたい場合は、UdemyPR のようなオンライン講座で、経営戦略・マーケティングフレームワークの入門講座を探してみるのも一つの手です(セール時期を狙うと選びやすくなります)。
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まとめ
SWOT分析・3C分析は、AIを「枠を埋める下書き役」と「抜けを突っ込む壁打ち役」として使うと、質を落とさずに時間を短縮できます。大事なのは次の3つです。
- 事業の前提を具体的に渡す(一般論を避ける)
- たたき台を鵜呑みにせず、AIに自分で批判させる
- 数字・固有名の確認と、最終判断は人がやる
まずは手元の一件で、ステップ1のプロンプトを試してみてください。白紙から書き始めるより、ずっとラクに深いところまで進めるはずです。