「値上げをお願いする文章だけは、何度書き直しても納得がいかない」——原価や送料が上がって価格を見直すとき、この一通に手が止まる人は多いはずです。結論から言うと、伝える順番を整えて、角の立つ言い回しを避けた下書きを作るのはAIが得意で、改定率・金額・実施時期といった事実の確定と、最終的な送信判断は人が持つ、という分担が失敗しにくい形です。この記事では、値上げ・価格改定のお知らせ文を角を立てずに整える手順を、相手別の文例とコピペプロンプト付きでまとめます。
<!-- FIGURE: 記事全体を表すアイキャッチ(改定の事実メモをAIに渡すと、感謝→改定内容→理由→お願い→結びの順に整った下書きになる流れ) -->まず結論:文面の下ごしらえはAI、金額と時期の確定は人
価格改定のお知らせでAIに任せられるのは、次のような構成と言い回しの調整です。
- ばらばらの事実(何を・いくら・いつから)を、読み手が納得しやすい順番に並べる
- きつく響く言葉をやわらげ、誠実だけれど言い訳がましくない表現に整える
- 取引先向け・一般のお客様向けなど、相手に合わせて数パターン出す
一方で、「改定率をいくつにするか」「いつから適用するか」「どの取引先に個別対応するか」という判断は人が担います。AIは自社の事情も相手との関係も知りません。あくまで、たたき台と言い回しの相棒として使うのが安全です。
角が立たないお知らせには「順番」がある
同じ内容でも、書く順番で受け取られ方が変わります。多くの場合、次の流れが読み手の心の動きに沿います。
- 日頃の感謝(取引・利用へのお礼を先に置く)
- 改定の事実(何を、いつから、どう変えるのかを短く正確に)
- 理由(原材料・物流費などの背景。相手のせいにしない)
- お願いと配慮(理解を願う一文。既存契約や移行期間への言及)
- 結び(今後も変わらぬ関係を願う一文)
ポイントは、理由を長々と書きすぎないことです。事情を並べるほど言い訳に聞こえます。事実を一度だけ、誠実に伝えるほうが伝わります。
AIに渡す前の下ごしらえ
いきなり「値上げの案内を書いて」と頼むと、当たり障りのないテンプレートが返ってくるだけです。次を先に用意すると精度が上がります。
- 改定の中身:対象の商品・サービス、現行と改定後の関係(「一部/全品」「〇%程度」など、社内で確定した事実)
- 実施時期:いつの受注・請求分から適用するのか
- 背景:値上げに至った主な要因(原材料・エネルギー・人件費・物流など、言える範囲で)
- 相手:長年の取引先か、一般のお客様か。関係性でトーンを変えます
固有情報の扱いにも注意します。取引先名や個別の金額など機微な情報は、許可された環境以外に入れないのが原則です。「A社」「対象商品X」と仮名に置き換えて、文面の型だけ作るのが安全です。
コピペで使えるプロンプト
そのまま使える指示文です。かっこ内を自社の事実に差し替えてください。
あなたはビジネス文書の作成を手伝うアシスタントです。
以下の条件で、取引先向けの「価格改定のお知らせ」文を作ってください。
# 事実(社内で確定済み)
- 対象:(例:一部の資材)
- 改定内容:(例:現行から見直し/具体率は伏せて「改定」と表現)
- 実施時期:(例:〇月〇日ご注文分から)
- 背景:(例:原材料と物流費の上昇)
- 相手:(例:長年お取引のある法人)
# お願い
- 順番は「感謝→改定内容→理由→お願い→結び」
- 誠実だが言い訳がましくないトーン。相手を責める表現は避ける
- 3パターン(かため/標準/やわらかめ)を出す
# 条件
- 事実にない数値や日付は補わず、(要確認)と明示する
- 「絶対」「必ず」などの断定は使わない
「かため/標準/やわらかめ」の3パターンを出させると、関係性に合わせて選べるので便利です。指示の書き方そのものに慣れておきたい人は、プロンプトの基本を押さえておくと、こうした細かい注文が通りやすくなります。
相手別に少しだけ変える
- 長年の取引先へ:感謝と、これまでの関係への言及を厚めに。可能なら移行期間や個別相談の窓口を添えます。
- 一般のお客様へ:簡潔さを優先。理由は一文で、改定後も選んでもらえる価値に軽く触れます。
- 社内の周知:対外文面とは別に、問い合わせが来たときの想定Q&Aを一緒に作らせておくと、現場が慌てません。
使ってみて分かったコツ(一次情報)
実際に、原材料の値上がりで送料を見直したときの案内文を Claude に下書きしてもらったところ、いちばん助かったのは「やわらかめ」の一文の言い換えでした。自分では「ご負担をおかけしますが」と書いていた箇所が、相手によってはかえって重く響くと気づき、「引き続きお役に立てるよう努めてまいります」という前向きな結びに寄せられたのです。所要時間は、事実メモを貼ってから5分ほどでした。整えること以上に、自分の言い回しのクセを外から見直せる点に価値がありました。
一方で、AIは指定していない改定率や日付を、それっぽく補ってくることがあります。ここを鵜呑みにすると事故のもとです。プロンプトで「事実にない数値は(要確認)と明示する」と釘を刺し、もっともらしい作り話(ハルシネーション)が本文に紛れないようにしておくのが安心です。断り文全般の整え方は断り・辞退のビジネスメールも参考になります。
注意:ここは人がやる
- 改定率・金額・実施時期の確定は人。AIの文面は、あくまで言い回しの下書きです。
- 送信前に、数字と日付と宛名を指差し確認する。ここだけは自分の目で見ます。
- 取引先名や個別条件は許可された環境以外に入れない。不安なら仮名化して型だけ作ります。
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まとめ
価格改定のお知らせは、「感謝→改定内容→理由→お願い→結び」の順番を守り、角の立つ言い回しをAIに整えてもらうと、書き出しの重さがぐっと軽くなります。まずは社内で確定した事実だけをメモにして、仮名のまま3パターン出させてみてください。きれいにまとめること以上に、相手を責めない誠実な一通に整えることが、この使い方のいちばんの狙いです。