AI活用の教科書

AIでプロジェクトのリスク洗い出し|想定される問題と対策を先に並べる手順

AI活用2026年8月31日7 分で読了執筆: 翔平

プロジェクトや企画の「あとで困る」を減らすリスク洗い出しをAIで。見落としがちな観点の発散、影響度×発生度での整理、対策のたたき台づくりまで、コピペで使えるプロンプトつきで手順を解説します。

プロジェクト管理リスク管理仕事効率化プロンプト
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プロジェクトや企画を進めていて「これ、始める前に気づけたな…」という問題にぶつかったことはないでしょうか。リスクの洗い出しは、頭のいい人が特別な勘でやっているわけではなく、観点を広げて・整理して・対策を先に決めておくという手順の作業です。この手順の「広げる」「整理する」部分は、生成AIがとても得意にしています。

この記事では、Claude や ChatGPT を使って、プロジェクトの想定リスクを洗い出し、対策のたたき台まで作る流れを、コピペで使えるプロンプトつきで解説します。結論から言うと、AIには「見落としがちな観点を全部並べさせる」ところまでを任せ、どのリスクを重く見るか・実際にどう手を打つかは人が決めるのが失敗しにくい使い方です。

<!-- FIGURE: 記事全体を表すアイキャッチ(発散→整理→対策の3ステップで進むリスク洗い出しの流れ図) -->

なぜリスク洗い出しにAIが向いているのか

リスクの見落としが起きる一番の理由は、担当者が「自分の経験の範囲」でしか想像できないことです。人は、自分が過去に痛い目に遭った種類のリスクには敏感でも、経験のない領域はまるごと視界から抜けます。

AIは、一般的なプロジェクトで起こりやすい問題のパターンを幅広く挙げるのが得意です。ここで大事なのは、AIを「答えを出す道具」ではなく「観点を広げる相棒」として使うこと。最終的な判断は人がしますが、そもそも判断のテーブルに載っていないリスクは判断のしようがありません。まずは選択肢を全部机に並べる、この一手間をAIに任せます。

対象は大がかりなシステム開発だけではありません。イベントの出展、新サービスの立ち上げ、部署の引っ越し、業務ツールの入れ替えなど、「複数の人・お金・期限が絡む取り組み」ならどれでも同じ手順が使えます。

手順1|まず観点を広げて発散させる

最初のステップは、質より量です。「思いつく限りのリスクを、種類ごとに分けて挙げて」とお願いします。前提を具体的に渡すほど、AIの出力はそのプロジェクト向けになります。

あなたはプロジェクトのリスク管理を支援するアシスタントです。
以下のプロジェクトで想定されるリスクを、できるだけ幅広く洗い出してください。

# プロジェクトの前提
- 目的:(例)社内の問い合わせ対応を新しいツールに移行する
- 期間:(例)今日から3か月
- 関わる人:(例)情報システム2名、各部署の窓口担当5名、外部ベンダー1社
- 予算・制約:(例)追加予算なし、既存の契約範囲内
- 特に不安な点:(例)現場が新ツールを使ってくれるか

# 出してほしいこと
- リスクを「スケジュール」「コスト」「品質」「人・体制」「外部要因」の
  カテゴリに分けて、各カテゴリ5個以上
- それぞれ「どういう状況で起きるか」を一文で
- まだ整理や順位づけはしなくてよい(まずは数を優先)
コードをコピーしました

ポイントは「まだ順位づけしなくてよい」と伝えることです。整理を急がせると数が減ります。出てきた一覧を眺めて、「うちの場合はこれも」と自分の頭に浮かんだものを手で書き足していくと、AIと自分の視点が合わさって網羅性が上がります。

<!-- FIGURE: リスクの観点を広げるカテゴリの例(スケジュール/コスト/品質/人・体制/外部要因の5分類マップ) -->

手順2|影響度×発生度で整理する

リスクは全部に同じ力で備えようとすると息切れします。そこで、洗い出した一覧を「起きたときの影響の大きさ」×「起きやすさ」の2軸で並べ替えます。ここもAIにたたき台を作らせられます。

先ほど洗い出したリスクを、次の2軸で整理してください。
- 影響度:起きたときのダメージ(大・中・小)
- 発生度:起きる可能性(高・中・低)

表の形で「リスク/影響度/発生度/ひとことメモ」を出してください。
そのうえで、影響度が大きく発生度も高いものを上位に並べ替えてください。
判断が難しいものは「要確認」と書いてください。
コードをコピーしました

AIがつけた「大・中・小」はあくまで一般論です。自分のプロジェクトの事情に照らして、ためらわず上下に付け替えてください。たとえばAIが「発生度:低」としたものでも、過去に自社で起きていれば「高」に上げます。この付け替えこそが、担当者にしかできない一次判断です。

<!-- FIGURE: 影響度×発生度のリスクマトリクス(右上=最優先、左下=様子見の4象限) -->

右上(影響度・大/発生度・高)に来たものから順に、次の対策づくりへ進みます。左下(小・低)は「起きたら考える」で一旦保留にして構いません。

手順3|対策のたたき台を作る

優先度の高いリスクについて、対策の案を出させます。ここでは「予防(起きないようにする)」と「発生時の対応(起きてしまったらどうする)」の両面を求めると、抜けが減ります。

次のリスクについて、対策のたたき台を作ってください。
リスク:(例)現場が新ツールを使わず、旧ツールに戻ってしまう

# 出してほしいこと
- 予防策(起きにくくする手)を3つ
- 発生時の対応(起きてしまったときの手)を2つ
- それぞれ「誰が・いつまでに」の観点で具体的に
- 費用や人員が新たに必要そうなものには印をつける
コードをコピーしました

出てきた対策は、そのまま計画に貼らず、「これはうちでは現実的」「これは工数的に無理」と取捨選択します。実行できない対策は書いてあっても意味がないので、やらないと決めた対策は消すのも立派な判断です。

使ってみて分かったコツと注意点

実際にこの手順を通しでやってみると、発散から整理、対策のたたき台までで、慣れれば30分ほどで一枚のリスク表ができます。ゼロから自分だけで考えると半日かかっていた作業なので、時間の節約というより「考える前に手が止まる」状態を抜け出せるのが大きい、というのが使ってみての実感です。

一方で、そのまま使うと危ないポイントもあります。

  • 数字や固有名は必ず人が裏取りする:AIは「対策費用はおおよそ○万円」のような、それらしい数字を添えることがあります。金額・日付・取引先名などは、AIの出力を根拠にせず、自分で一次情報を確認してください。事実確認をしないまま数字を信じると、ハルシネーション(もっともらしい誤り)をそのまま計画に持ち込むことになります。
  • 機微情報はそのまま貼らない:取引先の実名、未公開の人事、社外秘の金額などは、AIに入れてよい環境かを社内ルールで確認し、必要なら仮名や記号(A社・担当X)に置き換えてから渡します。
  • 決めるのは人:AIが並べた優先順位や対策は「候補」です。最終的にどのリスクに備えるかは、責任を持てる人が決めます。

よくある疑問

Q. 小さな案件でもやる意味はありますか? はい。むしろ前提を数行渡すだけで済む小さな案件ほど、手軽さの恩恵が大きいです。イベント準備や1週間の作業でも、「起きたら困ること」を先に5つ並べておくだけで慌てる場面が減ります。

Q. 毎回ゼロから書くのが面倒です。 一度作ったプロンプトの「前提」欄だけ書き換えて使い回せます。自分の会社でよく起きるリスクを追記した“わが社版”のテンプレを持っておくと、回を重ねるほど精度が上がります。

Q. リスク管理そのものを体系的に学びたい プロジェクトマネジメントの考え方(UdemyPR などのオンライン講座でも扱われています)を一度学んでおくと、AIに何を指示すればよいかの土台ができ、出力の良し悪しも判断しやすくなります。

まとめ

リスクの洗い出しは、「発散→整理→対策」の手順に分解できます。AIには前半の「幅広く挙げる」「2軸で整理する」を任せ、影響度の付け替えと対策の取捨選択、数字の裏取りは人がやる——この役割分担なら、見落としを減らしつつ暴走も防げます。まずは今抱えているプロジェクトで、手順1のプロンプトを1回試してみてください。

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