「提案書は用意した。メールも送った。でも、いざ商談の席で何をどう話すかが固まっていない」。そんな不安をお持ちの方へ、先に結論をお伝えします。営業トークの台本づくりは、資料を作る作業とは別に、「相手が言いそうなこと」と「そのときの返し方」をAIに一緒に洗い出させると準備が速くなります。商談の目的と相手の状況を生成AIに渡し、切り出し・想定問答・断られたときの切り返しをたたき台にしてもらう。仕上げは自分の言葉に直す、という流れです。
<!-- FIGURE: 記事全体を表すアイキャッチ(商談の目的と相手情報を入力すると、AIが「切り出し・想定問答・切り返し」の3つの台本を出す図) -->提案書・メールと「話す台本」は別物
営業の準備というと、提案書やメール文面に意識が向きがちです。ですが、成否を分ける場面はしばしば「対面や電話で、その場で話すとき」に訪れます。
- 提案書:見せて残す資料。読み返される前提の作り込み
- お礼・打診メール:文字で送る非同期のやり取り
- 話す台本:目の前の相手と、その場で交わす言葉の準備
このうち一番あと回しにされやすいのが「話す台本」です。台本といっても、一字一句を暗記する原稿ではありません。「最初の一言」「聞かれそうなこと」「渋られたときの返し」の3つを、あらかじめ手元に持っておくイメージです。丸暗記した棒読みは逆効果なので、あくまで地図として使います。
<!-- FIGURE: 「提案書・メール・話す台本」の3つの役割を並べ、話す台本だけが準備から抜け落ちやすいことを示した対比図 -->AIで準備する3つのパーツ
1. 切り出し(最初の30秒)
商談は入りの数十秒で空気が決まります。自社紹介から始めず、相手の困りごとに触れてから本題に入ると、聞く姿勢を作りやすくなります。AIには「自己紹介から入らない切り出しを3案」と頼むと、型を崩した案が出てきます。
2. 想定問答(聞かれそうなこと)
「他社と何が違うのか」「導入にどれくらいかかるのか」「うまくいかなかったらどうするのか」。相手の立場になると質問は予想できます。AIに相手の役を振って質問を出させると、自分では思いつかない角度が拾えます。
3. 切り返し(断られたとき)
「今は必要ない」「予算がない」「検討します」。この3つは特に出やすい返答です。ここで言い負かそうとせず、相手の事情を受け止めてから一歩だけ進める返し方を用意しておくと、慌てずに済みます。
<!-- FIGURE: 切り出し→想定問答→切り返しの3パーツと、それぞれで人が最後に確認する項目を並べたフロー図 -->コピペで使える営業トーク台本プロンプト
商談の前提を埋めて、そのまま貼って使えます。
あなたは、経験豊富な営業のコーチです。
これから商談に臨みます。下記の前提をもとに、話すための台本を作ってください。
【前提】
- 商品/サービス:(例:中小企業向けの勤怠管理ツール)
- 相手:(役職・業種・抱えていそうな課題)
- 今日のゴール:(例:次回の打ち合わせの約束を取る)
- 使える時間:(例:30分)
【作ってほしいもの】
1. 切り出しの一言(自社紹介から始めない案を3つ)
2. 相手が聞いてきそうな質問トップ5と、それぞれの答えの要点
3. 「今は必要ない」「予算がない」「検討します」と言われたときの切り返し(相手を否定しない形で各2案)
【お願い】
- 押し売りや誇張した表現は使わない
- 断定を避け、相手に確認をうながす言い回しにする
- 事実や数字の部分は【要確認】と明記して、私が埋められるようにする
ポイントは「押し売りや誇張は使わない」と最初に縛ることです。これを外すと、AIは調子のいい売り文句を並べがちで、かえって信頼を損ねます。ChatGPTでもClaudeでも、この"観点を絞る"プロンプトの書き方は共通して使えます。
一歩踏み込む「壁打ち」の使い方
台本ができたら、AIに相手役を続けてもらい、模擬商談をするのがおすすめです。「あなたは渋り気味の購買担当です。私の切り出しに、警戒した反応を返してください」と頼み、自分の返答を打ち込む。詰まった箇所が、本番で詰まる箇所です。
筆者も初回訪問の前に、この模擬商談を5分だけ回すようにしています。あるとき「他社の同じような製品と、どこが違うんですか」という質問に、うまく答えられませんでした。本番でこれを聞かれていたら固まっていたはずです。事前に一度言葉にしておくと、当日は落ち着いて話せました。所要時間は、前提の入力から模擬商談まで10分ほどです。
ただし、注意点があります。AIは相手の反応をそれらしく作りますが、目の前の相手が本当にそう考えているとは限りません。台本はあくまで準備であって、当日は相手の話をよく聞き、用意した言葉を手放す柔らかさも要ります。
<!-- FIGURE: AIを相手役にした模擬商談で「詰まった質問」を洗い出し、本番前に言葉にしておく流れの図 -->AIに渡すときの注意点
- 固有名・数字は自分で確認する:金額・導入実績・他社比較などは、AIが数字を作ってしまうこと(ハルシネーション)があります。台本の該当箇所は【要確認】のまま、一次情報で埋めてください
- 機微な情報は仮名で:相手企業名や社内限りの条件は、そのまま入力せず記号や仮名に置き換える。会社が許可した環境で使うのが基本です
- 決めるのは自分:値引きや条件の判断まではAIに委ねない。台本は「話し方の下ごしらえ」にとどめる
もっと話し方を鍛えたい人へ
営業トークは、型を知っているとAIのたたき台をぐっと自分のものにできます。UdemyPRには営業・商談・プレゼンの話し方に関する講座があり、セール時に買い切りで手に入れやすい形です。手元でじっくり読みながら整えたい方は、AmazonPRの営業・交渉術の書籍も相性がよいでしょう。
本記事はアフィリエイトリンクを含みます(PR)。まずは次の商談ひとつ分だけ、前提をAIに渡して切り出しの一言を3案もらうところから始めてみてください。
まとめ
- 話す台本は、提案書やメールとは別の準備。抜け落ちやすい
- 用意するのは「切り出し・想定問答・切り返し」の3つ
- AIに相手役をさせて模擬商談すると、詰まる箇所が事前に分かる
- 数字と固有名は【要確認】で自分が確定。台本は暗記でなく地図として使う
準備した言葉があると、当日は相手の話を聞くことに集中できます。話す前の10分が、落ち着いて向き合える商談をつくってくれます。