社内アンケートやお客様アンケートの「自由記述欄(フリーコメント)」を、数百件まとめて読むのは骨が折れます。選択式の集計はすぐ終わるのに、自由記述だけが手つかずで残る——この記事は、その山を生成AIで一気に「分類・要約・テーマ抽出」まで下ごしらえする手順です。
結論から言うと、AIが得意なのは「大量のコメントを似た内容でまとめ、件数をざっくり数え、頻出する声を要約する」ところまで。最終的な件数の確定や、誰の意見かの特定、施策の意思決定は人が担う——この線引きさえ守れば、読む時間を大きく減らせます。
<!-- FIGURE: 記事全体を表すアイキャッチ(自由記述の束→AIで分類→要約カードに整理される流れ) -->まず全体像:AIに任せる工程と人が持つ工程
自由記述の分析は、ざっくり4工程に分けられます。
- 前処理(誤字・空欄・「特になし」を除く)… AIに任せられる
- 分類(似た内容をカテゴリにまとめる)… AIの得意分野
- 集計(カテゴリごとの件数・割合)… AIは目安まで、確定は人
- 要約・示唆(多い声・少数だが重要な声を言語化)… AIの下書き+人の判断
ポイントは3の集計です。AIは件数を数えるのが苦手で、しれっと数を間違えます(いわゆるハルシネーション)。数字は必ず人が表計算ソフトで数え直す前提で使ってください。
手順1:コメントをそのまま貼れる形に整える
エクセルやスプレッドシートのコメント列を、1行1コメントのテキストにして用意します。個人名・取引先名・メールアドレスなどが混ざっている場合は、AIに渡す前に伏せ字にするのが安全です(社内規定・個人情報の扱いに従ってください)。
短いコメントなら数百件をまとめて貼れますが、長文が多い場合は50〜100件ずつに区切ると、AI(ChatGPTやClaude、Geminiなど)が取りこぼしにくくなります。
手順2:カテゴリ分けのプロンプト
まずは「どんな声があるか」の地図を作ります。カテゴリを自分で決めず、AIに提案させると、思い込みで漏らしていた観点が出てきます。
以下はアンケートの自由記述です。内容の近いものをまとめ、
5〜8個のカテゴリに分類してください。
出力形式:
- カテゴリ名:ひとことの説明
- そのカテゴリに入るコメントの番号(例:3, 12, 27)
- そのカテゴリの件数(目安)
注意:
- 1つのコメントが複数カテゴリにまたがる場合は両方に入れて可
- 判断に迷ったものは「その他」に入れ、理由を一言添える
- 数は目安であること、正確な件数は人が数え直す前提だと明記する
--- コメント ---
1. (ここに貼る)
2. ...
出てきたカテゴリを見て、粒度が粗ければ「『価格』を『月額料金』と『初期費用』に分けて」と追加で頼めます。ここは対話で詰められるのがAIの強みです。
手順3:カテゴリごとに要約する
分類ができたら、カテゴリを1つずつ要約させます。まとめて全部やらせるより、1カテゴリずつのほうが精度が上がります。
「サポート対応」カテゴリのコメントだけを対象に、次を出してください。
1. 多く挙がっている声トップ3(それぞれ、元コメントを1つ引用)
2. 少数だが見過ごせない声(安全・トラブルに関わるもの)
3. 全体のトーン(おおむね肯定的/否定的/賛否あり のいずれか)
事実にないことは書かないでください。
コメントに書かれていない原因の推測は「推測」と明記してください。
「元コメントを引用させる」のがコツです。引用があれば、AIが盛った要約になっていないかを人がすぐ確認できます。
手順4:報告用にまとめる
最後に、報告フォーマットへ流し込みます。
上のカテゴリ別要約をもとに、報告資料の下書きを作ってください。
- 冒頭に「主な傾向」を3行で
- カテゴリごとに「声の要約」と「考えられる次の一手(案)」
- 断定は避け、「〜という声が目立った」「〜の余地がある」で書く
- 件数の数字は【要確認】と入れておく(人が後で確定する)
「次の一手」はあくまで案です。実際にどう動くかは、現場の事情を知る人が決めます。AIの案は「抜けている視点はないか」のたたき台として使うのが安全です。
実際にやってみて感じたコツ
30件ほどの模擬コメントで試したところ、分類そのものは1〜2分で出ました。ただ、最初の一発では「その他」が妙に多く、粒度もばらつきました。「その他が全体の2割を超えたら、カテゴリを見直して」と一文足すと、2回目でぐっと締まります。
もう一つ。同じコメントでも、前置きを変えると分類が変わります。「クレームを拾いたい」のか「改善のヒントを拾いたい」のかを最初に伝えると、同じデータから別の地図が描けます。目的を言語化してから渡すと、手戻りが減りました。
やってはいけないこと
- 件数をAIの数字のまま報告しない。必ず表計算で数え直す。
- 個人が特定できる情報をそのまま渡さない。伏せ字にするか、社内で許可されたツールを使う。
- 「AIがそう言った」を根拠にしない。分析はあくまで下ごしらえで、解釈と決定は人の仕事です。
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