AI活用の教科書

チームのふりかえり(KPT)をAIで進行・整理|意見出しから次の一手まで

ふりかえり2026年8月15日6 分で読了執筆: 翔平

KPTやYWTなどのふりかえり(レトロスペクティブ)を、AIで進行・整理する方法をまとめました。1on1や定例会議との違い、そのままコピペで使えるプロンプト、意見を次のアクションに絞り込むコツを紹介します。決めるのは人が前提です。

KPTチームAI活用会議
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チームのふりかえり(レトロスペクティブ)は、意見を出すことより「次の一手を1つ決めて終わる」ことのほうが大切です。結論から言うと、意見の発散と整理はAIに任せ、何をやめて何を試すかの判断は人が持つと、短い時間でも実りのある会になります。この記事では、KPTなどのふりかえりをAIで進行・整理する手順と、そのまま使えるプロンプトを紹介します。

<!-- FIGURE: ふりかえりの流れ(意見を出す→グループにまとめる→次の一手を1つ決める)を左から右へ並べたアイキャッチ図 -->

ふりかえりとは? 1on1や定例会議と何が違う

「ふりかえり」は、チームが一定期間の仕事を見直して、次をよくするための改善の場です。同じ「話し合い」でも、目的がはっきり違います。

  • 定例会議:進捗の共有や意思決定が中心。「いま何が起きているか」を扱う。
  • 1on1:上司と部下が1対1で、個人の状況や成長を話す場。
  • ふりかえり:チーム全員で、進め方そのものを見直す場。「どう働いたか」を扱う。

つまりふりかえりは、成果物ではなく「やり方」を対象にします。責める場ではなく、次に小さく変えることを1つ見つける場だと考えると、雰囲気が軽くなります。

代表的な型が KPT です。Keep(続けたいこと)・Problem(困ったこと)・Try(次に試すこと)の3つに分けて意見を出します。ほかにも YWT(やったこと・分かったこと・次にやること)や、Fun/Done/Learn(楽しかった・終わった・学んだ)などがあります。

AIに任せる部分と、人が決める部分を分ける

ここを分けておくと、進行がぶれません。

AIに任せてよい人が必ずやる
出た意見のグループ分けどの意見を採り上げるかの判断
似た意見の要約・言い換え事実かどうかの確認
論点の抜けを質問で指摘「次に試すこと」を1つに絞る決定
進行台本・時間配分のたたき台個人を責めない場づくり

大規模言語モデル(LLM)は、もっともらしくまとめるのが得意なぶん、事実の作り話(ハルシネーション)が混じることがあります。数字や「誰が何をしたか」は、必ずチームのメモから拾ってください。個人名や社内の機微な情報は、許可された環境でだけ扱い、AIに渡すときは仮名にします。

<!-- FIGURE: 「AIがやること(整理・要約・論点出し)」と「人がやること(判断・決定・場づくり)」を左右に分けた役割分担の図 -->

KPTの意見をAIで整理するプロンプト

まず、付箋やチャットに出た意見をそのまま貼り付けて、整理してもらいます。以下をコピーして、{ } を自分たちのメモで埋めるだけです。

あなたはチームのふりかえりのファシリテーターです。
以下はKPTで出た意見のメモです。次の作業をしてください。

# 出た意見
- Keep: {続けたいこと・良かったことの箇条書き}
- Problem: {困ったこと・うまくいかなかったことの箇条書き}
- Try候補: {すでに出ている改善案があれば}

# やってほしいこと
1. 似た意見をグループにまとめ、各グループに短い見出しを付ける
2. Problemのうち、影響が大きそうな順に3つ選ぶ(理由も一言)
3. 選んだ3つに対して、明日から試せる小さなTry案を各2つ出す
4. 事実かどうか確かめたい点があれば【要確認】として質問を返す

断定はせず、あくまで候補として提案してください。
コードをコピーしました

最後の2行が効きます。AIに勝手に「これが原因だ」と決めさせず、候補として出させて、選ぶのはチームにする。こうすると、AIの推測を事実と取り違えずに済みます。

YWT・Fun/Done/Learn など別のフレームも1回で

チームの雰囲気によって、合う型は変わります。責める空気になりやすいときは、良かったことから入る型が向きます。まとめて出してもらいましょう。

同じメモを使って、次の3つの型でふりかえりの叩き台を作ってください。
1. KPT(続ける・問題・試す)
2. YWT(やったこと・分かったこと・次にやること)
3. Fun/Done/Learn(楽しかった・終わった・学んだ)

それぞれ、うちのチームに合いそうな点と、注意点を一言添えてください。
メンバーが5人・30分でやる前提です。
コードをコピーしました

型ごとに「向き・不向き」を添えてもらうと、次回の進行の参考になります。ChatGPTClaudeのような対話AIは、こうした「複数案を並べて比べる」使い方と相性が良いです。

<!-- FIGURE: KPT・YWT・Fun/Done/Learn の3つの型を、それぞれの見出し語とともに並べて比べた図 -->

発散した意見を「次の一手」に1つ絞る

ふりかえりが失敗しがちなのは、意見はたくさん出たのに、何も変わらないまま終わるパターンです。最後に1つへ絞る作業を、AIに手伝ってもらいます。

以下のTry候補の中から、次の1週間で試すものを選びたいです。
{Try候補の箇条書き}

次の観点で表にして、比べやすくしてください。
- 期待できる効果(大/中/小)
- 明日から始めやすいか(すぐ/準備がいる)
- 誰か一人で始められるか

そのうえで、最初の一歩として一番小さく試せそうな案を1つ、理由つきで薦めてください。決めるのは私たちが行います。
コードをコピーしました

ポイントは「次の1週間で1つだけ」に絞ること。大きな改革を10個決めるより、小さなTryを1つ確実に回すほうが、チームは変わっていきます。決めた1つは、次回のふりかえりで「やってみてどうだったか」を最初に確認します。

一次情報:使って分かった3つのコツ

実際にふりかえりのメモをAIに整理させてみて、気づいたことです。

  1. 意見はそのままの言葉で貼るほうがいい。 きれいに要約してから渡すと、現場の温度が消えてしまいました。荒い箇条書きのまま渡し、まとめはAIに任せるほうが、10分ほどで論点が見えてきます。
  2. 「断定させない」と一言入れないと、原因を決めつける。 AIは「Aが原因です」と言い切りがちなので、候補として複数出させるほうが議論が広がりました。
  3. Try案は「小さすぎるくらい」を選ぶと続く。 AIは立派な改善案を出しがちですが、実際に回るのは「次の朝会で1分だけ共有する」くらいの小ささでした。

30分の進行の型(タイムボックス)

時間を区切ると、だらだら続かずに済みます。5人・30分の一例です。

  • 最初の3分:今日のテーマと「責めない」ルールの確認
  • 10分:各自が意見を書き出す(Keep / Problem)
  • 7分:AIにグループ分けと論点出しをさせ、画面で見る
  • 7分:Try候補を出し合い、1つに絞る
  • 3分:決めたTryと担当・次回の確認
<!-- FIGURE: 30分ふりかえりのタイムボックス(3分→10分→7分→7分→3分)を時計や横棒で示した図 -->

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まとめ

ふりかえりは、意見を出すこと自体が目的ではなく、「次に試すことを1つ決めて終わる」ことに価値があります。意見の整理と論点出しはAIに任せ、何を採り上げて何を試すかは人が決める——この分担なら、30分でも前に進む会になります。まずは次のふりかえりで、出た意見をそのまま貼り付けて、上のプロンプトを一度試してみてください。

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