「有給って何日前までに申請するんだっけ」「慶弔休暇は何親等まで対象?」——就業規則を開いても、条文が長くて自分の知りたい一行までたどり着けない。そんなときに先に結論をお伝えします。就業規則や社内規程は、該当箇所さがしと条文の言い換えをAIに任せ、最終的な適用の判断と確定は原本と人事で行うと、短い時間で正しく調べられます。規程の本文を生成AIに貼り付け、「この状況に関係する条文はどこか」「この一文をやさしく言い換えて」と頼む。あとは規程の原本と照らし合わせて確かめる、という分担です。
<!-- FIGURE: 記事全体を表すアイキャッチ(長い規程を入力すると、AIが「該当箇所・やさしい言い換え・確認したい点」の3つを返す図) -->この記事は、人事担当ではない一般の会社員が「自分の疑問を自分で下調べする」ことを想定しています。就業規則を作る・変える話ではなく、すでにある規程を読み解く話です。
AIに任せてよい範囲と、人が必ず行う範囲
はじめにいちばん大事な線引きをしておきます。規程が実際にどう適用されるかを決めるのは、AIではなく人事や会社の判断です。AIは長い文章から関係する箇所を拾い、読みやすく言い換える下ごしらえの担当で、「あなたのケースはこうなる」と結論づける役ではありません。ここを混同すると、思い込みのまま動いてしまう危険があります。
| 作業 | 担当 |
|---|---|
| 長い規程から関係しそうな条文を拾う | AI(下ごしらえ) |
| むずかしい条文をやさしく言い換える | AI(下ごしらえ) |
| 確認したい点・質問リストの作成 | AI(たたき台) |
| 自分のケースへの当てはめ・最終判断 | 人(人事・上長) |
| 数字や適用条件の確定 | 人(原本・就業規則の正本) |
AIの回答は、あくまで「原本のどこを見ればいいか」の案内板だと考えてください。案内板を見て、実際の棚(=規程の原本)を自分の目で確かめる。この順番を守れば、大きく外すことは避けられます。
準備:AIに渡す前に確認する2つのこと
1. 規程を貼ってよいかを確認する
就業規則そのものが社外秘に指定されている会社もあります。まずは、規程の本文を外部のAIサービスに貼り付けてよいかを社内ルールで確認してください。判断がつかない場合は、条文をそのまま貼らず、自分の言葉で要点だけを質問する(例:「一般的に、慶弔休暇の対象になる親族の範囲はどう定められることが多いですか」)方法に切り替えます。会社が契約している業務用のAI環境があるなら、そちらを使うのが安全です。
2. 「一般論」と「うちの規程」を分けて考える
AIは、世間一般でよくある就業規則の傾向は答えられますが、あなたの会社の規程そのものは、貼り付けて渡さないかぎり知りません。「一般的にはこう」という回答を「うちもこう」と受け取らないこと。ここはハルシネーション(もっともらしい誤りをAIが作ること)が起きやすい場面でもあるので、必ず自社の原本と突き合わせます。
<!-- FIGURE: 「AIが知っている一般論」と「自社だけの規程」を二重丸で分け、重なりを原本で確認する図 -->使えるコピペプロンプト集
該当箇所をさがす
規程の本文を貼れる場合は、次のように頼むと、長い文章から関係する条文だけを拾ってくれます。
あなたは労務の知識がある事務のサポート役です。
以下は当社の就業規則の抜粋です。この中から「年次有給休暇の申請の期限・手続き」に
関係する条文だけを、条番号と原文のまま抜き出してください。
関係する条文が見当たらない場合は「該当なし」と答えてください。
推測で条文を作ったり、書かれていない数字を足したりしないでください。
【就業規則】
(ここに本文を貼り付け)
ポイントは、「書かれていないことは足さないで」「無ければ該当なしと答えて」と先に釘を刺すことです。これを入れておくと、AIが親切心で存在しない条文をでっち上げるのを抑えられます。
むずかしい条文を言い換える
次の条文を、法律や労務の予備知識がない人にも分かるように、
やさしい言葉で言い換えてください。
・元の意味を変えない
・具体例を1つ添える
・元の条文で使われている数字や期間はそのまま残す
【条文】
(ここに貼り付け)
確認したい点を質問リストにする
規程を読んでもモヤっとした部分は、人事に聞く前にAIに質問リストを作ってもらうと、聞き漏らしが減ります。
私の状況は次のとおりです。
(例:来月、配偶者の親の葬儀で数日休みたい。忌引きの日数と申請方法を知りたい)
この件で、就業規則を確認するとき/人事に問い合わせるときに、
確認しておくべきポイントを箇条書きで挙げてください。
一般論としての注意点で構いません。断定はしないでください。
実際に使って分かったコツ
筆者が有給と特別休暇まわりを調べたとき、いちばん効いたのは「条文をそのまま抜き出させてから、別に言い換えさせる」二段構えでした。最初から「分かりやすく説明して」と頼むと、AIが要約する過程で「◯日前まで」といった数字を丸めたり、条件を一つ落としたりすることがあります。まず原文を抜き出させ、数字と条件がそろっているのを確認してから、別のステップで言い換えを頼む。この順番にしてから、原本と読み比べたときのズレがほとんどなくなりました。
もう一つ。ChatGPTやClaudeなどに質問すると、語調が自信満々なので、つい鵜呑みにしそうになります。「その根拠は、貼り付けた規程の第何条ですか」と一度聞き返すようにすると、根拠のない回答(貼っていない情報を混ぜた回答)をあぶり出せます。根拠として条番号を示せないときは、原本にその内容が無い可能性が高い、という目印になります。
やってはいけないこと・注意点
- 個人情報・機微情報を貼らない:社員番号、氏名、給与額、評価などはAIに入れない。調べたいのはルールであって、個人の事情ではありません。人物が特定できる情報は伏せて質問します。
- AIの回答を根拠に権利を主張しない:「AIがこう言った」は社内で通用しません。話をするときは、必ず規程の原本の条番号を根拠にします。
- 法改正や制度の数字を鵜呑みにしない:有給の付与日数など法律で決まっている部分は、厚生労働省などの公式情報が正本です。AIの説明は入口として使い、数字は公式で裏取りします。
- 就業規則が優先される場面を忘れない:法律の最低ラインより手厚い定めが社内規程にあることも多いので、最後は必ず自社の規程を確認します。
もっと深く学びたいときは
労務や就業規則の考え方そのものを体系的に知っておくと、AIの下調べも一段と使いこなせるようになります。オンライン講座ならUdemyPRに労務・人事の入門講座があり、書籍でじっくり学ぶならAmazonPRで「就業規則の読み方」「労務の基本」といった入門書を探せます。土台の知識があるほど、AIの回答のあやしい部分に気づきやすくなります。
本記事はアフィリエイトリンクを含みます(PR)。まずは自社の規程を貼ってよいかを確認したうえで、今日の小さな疑問を一つ、AIと原本の二段構えで調べてみてください。
まとめ
- 就業規則の下調べは、該当箇所さがしと言い換えをAI、適用の判断と確定を人に分ける。
- 「書かれていないことは足さない」「無ければ該当なし」と先に指示し、条文は原文抜き出し→言い換えの二段構えにする。
- AIの回答には「根拠は第何条?」と聞き返し、最後は規程の原本と公式情報で裏取りする。
- 個人情報は入れず、AIの回答を根拠に権利主張しない。判断はあくまで人事と原本で。