「求人を出しているのに応募が来ない」「書いた求人票が、どこかで見たような無難な文章になってしまう」——採用担当でなくても、小さな会社では誰かが片手間でこの仕事を抱えがちです。結論から言うと、自社の事実(仕事内容・働き方・任せたいこと)をAIに渡せば、応募者の心に届く求人票やスカウト文の下書きは10分ほどで用意できます。あなたがやるのは、事実が正しいかの確認と、自社らしい言葉への微調整だけです。
この記事では、ChatGPT や Claude のような生成AIで、求人票・スカウト文・面接質問を作る手順を、そのままコピーして使えるプロンプトつきで解説します。あわせて、採用で特に気をつけたい「盛りすぎ」を防ぐ運用も最後にまとめます。
<!-- FIGURE: 記事全体を表すアイキャッチ(自社の事実→AI→求人票/スカウト/面接質問の3つの下書き) -->結論:AIは「翻訳役」、事実と魅力の源は自社にある
最初に線引きをしておきます。採用文づくりでAIが得意なのは、次のような作業です。
- 箇条書きの仕事内容を、応募者目線の文章に組み立てる
- 同じ内容を、新卒向け・経験者向けなど読み手に合わせて言い換える
- 固い募集要項を、読みやすく・温度のある表現に整える
逆に、AIに任せきりにできないのが、事実そのものです。給与レンジ、勤務地、任せる業務、求める経験——ここをあいまいなままAIに渡すと、もっともらしいが事実と違う文章(ハルシネーション)が混ざります。採用は入社後のミスマッチに直結するので、事実は人が用意し、AIは伝わる言葉に翻訳させる——この役割分担が基本です。
<!-- FIGURE: AIに任せていい作業/人が用意・確認する事実の対比表 -->基本のプロンプト:応募が集まる求人票
まずは求人票の本文です。下のプロンプトの【】部分を自社の事実に置き換えて使ってください。
あなたは採用広報の専門家です。
以下の情報をもとに、応募者に魅力が伝わる求人票の本文を作ってください。
# 募集の事実
- 職種:【例:経理担当(正社員)】
- 主な仕事:【箇条書きで3〜5個】
- 必須の経験・スキル:【】
- あれば歓迎:【】
- 働き方:【例:週2在宅可、残業月10時間程度、フレックス】
- 任せたい背景:【例:経理が1人で手一杯。仕組み化を一緒に進めたい】
# 条件
- 構成:①どんな会社か(2行)→ ②仕事内容 → ③こんな人に来てほしい → ④働き方 → ⑤応募方法
- 誇張しない。「絶対」「必ず成長できる」など断定や過度な美化はしない
- 上から目線にせず、対等な言葉づかいにする
- 800字程度
ポイントは 「任せたい背景」を必ず書くことです。「なぜこの人が必要なのか」が入ると、求人票が「条件の羅列」から「あなたに来てほしい理由」に変わります。応募者は条件だけでなく、自分が役に立てそうかどうかを読み取って応募するからです。
実際に使って分かったコツ
私が試して効いたのは、「歓迎要件を盛りすぎない」よう指示することでした。最初のうちは必須・歓迎にあれもこれも詰め込んだ求人票になり、AIに整えてもらっても「完璧な人しか応募できない」雰囲気が出ていました。「歓迎は3つまで。無くても応募してほしいと一言添える」と条件に入れたら、ぐっと門戸の広い、それでいて期待値の伝わる文章になりました。所要時間も、白紙から悩むより体感で半分以下です。
応用:スカウト文と面接質問もまとめて作る
採用は求人票を出して終わりではありません。気になる人へ送るスカウト文、そして面接の質問づくりまで、同じ事実を使い回せます。
スカウト文(一斉送信のテンプレにしない)
以下の候補者プロフィールと、先ほどの募集情報をもとに、
スカウトメッセージの下書きを作ってください。
# 候補者プロフィール(要約)
【経歴・スキルの要点を貼る】
# 条件
- なぜこの人に声をかけたのか、プロフィールの具体的な点に触れる
- テンプレ感を出さない。コピペで誰にでも送れる文章にしない
- 300字程度。最後に「まずはカジュアルにお話だけでも」と添える
スカウトは「あなたのこの経験に惹かれた」という一点があるかどうかで返信率が変わります。プロフィールの具体的な記述に触れさせるのがコツです。
面接質問(聞きたいことを深掘りさせる)
この職種の面接で使う質問案を7つ作ってください。
- 経歴の事実確認ではなく、考え方や行動の仕方が分かる質問にする
- 各質問に「この質問で何を見たいか」を一言添える
- 圧迫的・差別的になりうる質問は避ける
質問の意図まで添えさせると、面接官が複数いても評価の目線をそろえやすくなります。表計算ソフトで候補者ごとの評価を整理する方法は、Excelの関数や作業をAIに任せるの考え方も応用できます。
<!-- FIGURE: 求人票→スカウト文→面接質問を同じ事実から作る流れ図 -->注意:採用文の「盛りすぎ」と個人情報
採用文づくりで一番気をつけたいのが、実態とかけ離れた美化です。「アットホーム」「裁量大きく成長できる」といった言葉は、AIに頼むといくらでも出てきますが、入社後に実態と違えば早期離職につながります。求人広告には景品表示法や職業安定法など守るべきルールもあります。書けるのは事実だけ、と線を引いておくと、結果的に長く活躍してくれる人とのマッチングに近づきます。
もう一つは、候補者の個人情報の扱いです。クラウド型の生成AIは、入力した文章を事業者のサーバーに送って処理します。スカウト文を作るときも、氏名や連絡先、特定につながる経歴は伏せ、「候補者A」「金融業界で5年」のように要約して渡せば、下書きづくりにはほとんど支障がありません。業務で生成AIを使うときのリスクと対策は、会社で生成AIを安全に使うにはで「入れる・信じる・出す」の3つに分けて詳しくまとめています。
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まとめ
- 求人票・スカウト・面接質問は、自社の事実をAIに渡し、伝わる言葉に翻訳させるのが基本
- 求人票では「任せたい背景」を書くと、条件の羅列が「来てほしい理由」に変わる
- 歓迎要件は盛りすぎない。門戸を狭めると応募が遠のく
- スカウトは一人ひとりの具体点に触れる。テンプレ一斉送信にしない
- 採用文は事実だけを書く。盛りすぎは早期離職を招き、候補者の個人情報は伏せて渡す
応募者は、文章の向こうに会社の姿勢を読み取ります。AIで時間を浮かせた分を、一人ひとりへの目配りに回す——そのくらいの距離感が、採用ではちょうどいいと感じています。